離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚などいくつかの手続方法がありますが、そのうち9割を占めるといわれている方法が「協議離婚」です。
離婚に伴う財産分与は、本来であれば離婚成立と同時か離婚後速やかに行うのが理想です。しかし、円満離婚といえど相手方との話し合いの煩わしさや、日々の生活の忙しさやにより手続きが先送りされてしまうことが少なくありません。
「裁判所の手続を経ることなく一応円満に離婚はしたけれど、家の名義変更をしないまま数年経っている・・・。」
今回は離婚による不動産の名義書き換えをそのままにしておいた場合のリスクと実際お手続きを進めるうえでの注意点についてご紹介します。
1.不動産の名義をそのままにしておくリスク
円満に離婚し、今まで問題なく生活できていたとしても、そこには大きなリスクが存在します。
①元夫(妻)が借金をし、家が差し押さえられるトラブル
もし元夫(妻)が消費者金融で多額の借金をした場合、債権者は元夫(妻)の不動産の持分を差し押さえることができます。 持分が競売にかけられ、落札した不動産業者や投資家などの赤の他人と共有することとなります。
その後、共有物分割請求訴訟などを提起され、価格賠償や代金分割により不動産を手放さなければならない可能性があります。
②元夫(妻)が再婚し、亡くなった場合の相続トラブル
元夫(妻)が再婚し、その後に亡くなった場合、不動産の元夫(妻)の持分は、「元夫(妻)の再婚相手」や「その再婚相手との子供」と「元夫(妻)とあなたとの子供」が相続人となり、あなたは相続人とはなりません。つまり、赤の他人同士が遺産分割協議をして合意しなければいけないため、協議の内容次第では代償金を支払って不動産の持分を相続したり、共有となった場合は共有物分割請求訴訟などを提起され、価格賠償や代金分割により不動産を手放さなければならない可能性があります。
③認知症によるトラブル
Bが認知症を発症して判断能力を失ってしまった場合、不動産の処分(売却・賃貸する)などの手続きは一切できなくなります。 成年後見人(※)をつけるなどして手続きを進めることも可能ですが、後見人はその認知症の方のために財産を管理するため実質的に不動産が「凍結」されてしまいます。
2.手続を進めていく際の注意点
①住宅ローンの債務が残っている場合
通常、住宅ローンの契約には、「所有者を変更する場合は、事前に銀行の承諾を得ること」という条項が入っています。もし無断で名義変更を行うと、契約に違反したこととなり残りのローン全額を一括返済するよう求められるリスクがあります。 住宅ローンの残っている不動産を財産分与で名義を変える場合は必ず事前に金融機関に問い合わせて下さい。
②住宅ローンが連帯債務である場合
ローンが夫婦が互いに連帯して全額の返済義務を負う「連帯債務」の形である場合、不動産の名義を妻の単独にするなら、ローンも妻の単独名義に借り換えるべきです。しかし、借り換えには厳格な審査があり、年収等の条件で単独での借り換えが難しいこともあります。このような場合は、銀行との相談を含めて色々なスキーム考える必要があります。
③ 離婚協議書等の証書が存在しない
離婚時に書面を作成していない場合、財産分与による所有権移転の登記(名義変更)を行うには、その原因となる合意文書(離婚協議書や財産分与協議書)が必須となります。
当事者の取り決めや金融機関と協議したスキームをふまえて、清算条項なども組み入れた書類を専門家が作成いたします。
3.まとめ
認知症対策と同様、不都合が顕在化していないため後回しにしてしまうケースが多いため、実際に問題に直面してから後悔されている事案を多く見てきました。
「もう終わったことだし相手と話してまた嫌な思いをしたくない・・・」というお気持ちの方が大半だと思います。しかし、ご自身や子供の生活を守るためにも「相手と連絡がつくうちに」「相手が元気なうちに」お手続きを済ませておくことをおすすめいたします。
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