株式会社設立時の出資金について

株式会社を設立するときは、発起人は必ず1株以上引き受けなければならず、遅滞なく出資に係る金銭の全額を払い込まなければなりません。そして、株式会社の設立登記を法務局へ申請する際に「払込みがあったことを証する書面」を添付することが義務付けられています。
今回は、この出資金の払い込みについてのご質問をまとめました。

会社法第32条
1.発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
①発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
②前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
③成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2.設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第1号の設立時発行株式が第108条第3項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。

会社法第34条
1.発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。
2.前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法 (昭和56年法律第59号)第2条第1項 に規定する銀行をいう。第703条第1号において同じ。)、信託会社(信託業法 (平成16年法律第154号)第2条第2項 に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。

出資金は誰の口座に払い込めばよいですか?

会社設立時の出資金は、会社設立前でまだ会社名義の口座が存在しないため、「発起人(出資者)または設立時代表取締役の個人の銀行口座」に振り込みます。新しい口座を作る必要はなく、既存の個人用口座で問題ありません。
発起人が1人の場合:その発起人本人の個人口座
発起人が複数の場合:発起人の中の代表者(1名)の口座、または設立時代表取締役に指定した人の口座

発起人が日本に口座を持っていないのですが。

発起人が銀行口座を有していない場合は、「取締役」の銀行口座に資本金を振り込むこともできます。ただし、取締役の銀行口座を利用するときは、発起人から当該取締役へ払込金受領に関する委任状が必要となります。※払込金受領の委任については、発起人のうちの1人からの委任があれば足ります。

発起人も取締役も日本に口座を持っていないのですが。

登記申請書の添付書類の記載から、発起人及び設立時取締役の全員が日本国内に住所を有していないことが明らかである場合には、預金通帳の口座名義人は、発起人及び設立時取締役以外の者も可能です。
ただし、発起人及び設立時取締役以外の者の口座を使用する際には、発起人から当該発起人及び設立時取締役以外の者へ払込金受領に関する委任状が必要となります。※払込金受領の委任については、発起人のうちの1人からの委任があれば足ります。(法務省民商第41号平成29年3月17日通達)

ネット銀行の口座でも大丈夫ですか?

ネット銀行の口座でも問題ありません。ネット銀行には通帳が無いことがほとんどですので、通帳の写しの代わりに、以下の記載のあるページをネットやアプリからプリントアウト(スクリーンショット)などして払込証明書の一部として法務局へ提出します。
・銀行名
・支店名
・口座番号
・口座名義人
・資本金の入金履歴

払い込みの前に口座残高をゼロにする必要がありますか?

出資金の「振り込みがあった事実」がわかれば構わないため、あらかじめ銀行口座の残高をゼロにする必要はありません。

すでに口座に出資金の額以上の金額を預け入れている場合は払い込みをしなくてもよいですか?

大切なのは残高ではなく、出資金が振り込まれたという事実です。払い込むものと決められた金額が100万円、口座残高が180万円あった場合、一度100万円出金してすぐに入金する等してでも入金の履歴を作る必要があります。

資本金を払い込むタイミングはいつですか?

原則は資本金を払い込む日は定款作成日以降(同日でもOK)であれば問題ありません。定款作成日とは、定款に記載された日付のことを指し、必ずしも「定款認証日」以降の日でなくても大丈夫です。

ただし、定款作成日よりも前に払込みがあったものでも、当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、当該払込証明書をもって設立登記申請の添付書類として使用できることになりました(付法務省民商第286号令和4年6月13日通達)。

定められた金額よりも多めに払い込んでしまいました。

定款や発起人によって払い込むものと決められた金額よりも多く振り込んだ場合でも問題ありません。もちろん、資本金として計上できる額は多めに払い込んだ額ではなくあらかじめ決められた金額となります。

まとまった金額が用意できず出資金を複数回に分けて振り込んでしまいました。

出資金は複数回に分けて振り込んでも問題ありません。

出資金を振り込んだ後、引き出してしまいました。

大切なのは残高ではなく、出資金が払い込まれたという事実です振り込まれた後、これから設立する会社の事業のために資金を利用することもあり得ますので、引き出した履歴が残っていても問題ありません。

払い込む人の名前の記載は必要ですか?

発起人の氏名と振り込んだ金額が、定款等で定めた内容と同じである必要はありません。
また、外国送金や入金等のように振り込んだ人の氏名が記載されていなくても問題ありません。
出資金として、発起人の1人が現金を他の発起人から受け取り、それを出資金としてまとめて振り込むこともあるため、1名が全員分を払い込んだ記載のある通帳の履歴でも構いません。

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