1.商業登記とは?
商業登記は、会社(株式会社、合名会社、合資会社、合同会社)等について、法人登記は、会社以外の様々な法人(一般社団法人・一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人等)について、その商号・名称や所在地、役員の氏名等を公示する制度です。
会社・法人は、そのほとんどが設立の登記をして法人格を取得し、また、商業登記を確認することで取引の安全と円滑に資することにもなるため、虚偽の登記申請や登記申請の懈怠に対する罰則が定められています。
2.選任懈怠と登記懈怠
登記事項に変更が生じたら2週間以内に登記申請する必要があります。(会社法第915条第1項)この登記すべき期間の経過後に登記申請をしたとしても、当該期間内の登記申請を怠った代表取締役は、裁判所から100万円以下の過料に処される可能性があります(会社法第976条)
なお、一般社団法人・一般財団法人の場合も同様です。(一般法人法第303条及び第342条)
実際は少し過ぎたくらいでは課されることはなく、6ヵ月~1年くらいがひとつの目安という感じです。
役員変更登記懈怠の過料相場については、懈怠期間で変わるため一概にいくらとはご案内できませんが、1、2年の懈怠で2~3万円程度が多いようです。
また、懈怠といっても①登記懈怠(選任はしていたが登記だけを怠っていた)なのか、②選任懈怠(役員の選任自体を怠っていた)のかの違いもあり、選任懈怠の方が過料額が多いとのことです。
過料も痛手ですが、許認可によっては選任懈怠の場合、登記上任期が切れて問題になるケースもあるため十分ご注意ください。
3.法務局にて懈怠が判明した場合
登記懈怠や選任懈怠を法務局が把握した場合、まず法務局から裁判所に対して通知が行われ、それを受けた裁判所は懈怠の期間等に応じて過料の金額を決定し、代表者の自宅に過料決定の通知が送られてきます。
なお、「過料」は行政罰であるため、刑事罰である「科料」や「罰金」と異なり前科はつきません。
4.登記を長期間放置するとどうなるか
全国の法務局では、毎年、休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行っており、毎年10月頃、法務大臣による官報公告が行われ、休眠会社又は休眠一般法人に対して、登記所から通知書が送付されます。
この公告から2か月以内に役員変更等の必要な登記又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしないと、実際には事業を継続していたとしても、みなし解散の登記がされることになります。
休眠会社・休眠一般法人とは?
株式会社の場合
最後の登記から12年を経過している株式会社を指します。(会社法第472条の休眠会社。特例有限会社は含まれません。)
一般社団法人・一般財団法人の場合
最後の登記から5年を経過している一般社団法人又は一般財団法人を指します。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出とは?
まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は、公告から2か月以内に役員変更等の必要な登記をしない場合には、「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。
登記所からの通知書の下段にある「届出書」に所定の事項を記載し、登記所に送付又は持参して行います。また、代理人によって届出をするときは委任状も必要です。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わない限り、翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となります。
また、この届出又は必要な登記申請がされた場合であっても、それ以前の登記懈怠については裁判所から過料に処せられる可能性があります。
その後も登記又は事業を廃止しない旨の届出をしない場合には、解散したものとみなされ登記官の職権により解散の登記がされることになりますのでご注意ください。
みなし解散の登記とは?
公告から2か月以内に、必要な登記申請又は「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしなかった休眠会社又は休眠一般法人については、その2か月の期間満了の時に解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします(みなし解散の登記)。
なお、みなし解散の登記後であっても3年以内に限り、(1) 株式会社は、株主総会の特別決議によって(2)一般社団法人又は一般財団法人は、社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によって、それぞれ会社・法人を継続することができ、会社・法人を継続したときはその決議から2週間以内に、継続の登記の申請をする必要があります。